エゾシカ衛生処理マニュアルについて

クイージで取り扱っているエゾシカの肉は、静内食美楽というエゾシカ衛生処理マニュアルに準拠した処理場で処理された、高い品質のエゾシカ肉である。
ところが、営業先のレストランで話をすると、エゾシカを使っているレストランの仕入先は、衛生処理マニュアルに準拠していない処理場経由やハンターとの直接取引を行っているところがほとんどである。(既にエゾシカを取り扱っているレストランの仕入れを調査すると、約半数はハンターと直接取引を行っている。)

■ハンターとの直接取引きは、
・肉質が安定しない
・優秀で安いハンターを探すのが大変
・安定供給が難しい。
といった問題はあるが、
・安い。
・直接ハンターから仕入れるというイメージ(鮮度がよさそう、美味しそう、ワイルド)
というメリットもある。
しかしながら、このハンターとの直接取引は、送られる形態(枝肉、ブロック肉、生体搬送、屠体搬送)によるのだが食品衛生法違反の場合もある。
→生体、屠体搬送はOK、枝肉、ブロック肉はNG (ほとんどが、ブロック肉での搬送でNGです。)

■一方で処理場経由の場合も、処理場自体2つのパターンがある。
1.エゾシカ衛生処理マニュアルに準拠した処理場で処理された推奨肉
2.そうではない非推奨肉

非推奨であっても、すべてが悪い肉というわけではなく、処理場である以上、保健所の指導が入っており、衛生面での基準はクリアしている(はず)。だたし、非推奨の処理場のすべてが、エゾシカを取り扱うために必要な基準をクリアしているかというとそうではない。ハンターからエゾシカを買い入れる際に、さまざまな形態があり(そのまま搬送、毛皮/内臓摘出後搬送、ブロック加工後の搬送など)、それらは野生肉の取り扱いに関して十分ではない可能性もある。そしてなにより、入手したエゾシカ肉がどのような処理を経て届いたのかが分からず、品質保証のリスクが買い手側にあることが問題であると考えている。

推奨肉とは、北海道庁が公開しているエゾシカ衛生処理マニュアルにしたがって処理を行い、また、年一回の監査をクリアする必要もあり、野生肉の取り扱いに関して十分な処理手順を踏んでいる。

ところが、クイージが営業活動を行っていて、衛生処理マニュアルに準拠したエゾシカ肉を取り扱っているレストランに出会うことはほとんどない。
(推奨肉を取り扱っているレストランであったら、クイージはおとなしく引き下がります。。。一応ね。)

非推奨の肉は、値段にも差があり、比較的安い価格で提供している場合が多く、なかなかひっくり返すことは難しいが、クイージの立場としては、なるべく推奨肉を取り扱ってもらうように営業をかけている。

ここで、推奨処理場がハンター直接取引や非推奨処理場との比較に勝ち、生き残るためにどういった施策があるかを考えてみる。

1.消費者/レストラン関係者への認知の徹底を行い、推奨処理場の肉を使ってもらう。
2.エゾシカ衛生処理マニュアルを、推奨制度から法規制などへ強化し、行政による指導を行う。

などが考えられる。

2.の行政による指導は、もし実現したら、確実に推奨処理場からの肉が増えることが予想される。罰則・取締りを厳しくすることで、ハンター直接取引/非推奨処理場の肉を市場から締め出すことが可能になるかと考えている。しかし、現状で半分以上のエゾシカ肉がハンター直接取引/非推奨処理場経由で取引されていることを考えると、現在の市場が破壊され、そもそもエゾシカ肉が市場からなくなってしまう可能性もある。さらに、この施策によって、エゾシカの捕獲数が激減することも考えられ、エゾシカ食害が今以上に広がることも予想される。
したがって、クイージでは、1.を進めていこうと考えている。
(処理マニュアルに準拠していない処理場を自発的に処理マニュアルに準拠してもらいたいし・・・)

なぜ、推奨制度にのっとった処理場の肉が良いのか?
安心安全といった衛生面はもちろん、品質の安定、推奨処理場、エゾシカ衛生処理マニュアルを作るにいたった人たちの想いなど、レストランに伝えるべきことは多くある。
きっちりとアピールを行い、理解してもらうことで、推奨処理場の肉を取り扱ってもらえるように努力するしかないと感じている。

参考
エゾシカ衛生処理マニュアル(北海道庁)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/sika/ezosikamanual.htm
社団法人エゾシカ協会
http://www.yezodeer.com/

 

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