シカやイノシシをイベントで使うときの注意点

ちょっとまじめな話です。

最近、メディアで獣害を取り上げてもらう機会が増えたこともあり、都市域でシカ肉やイノシシ肉を使った『食べる』イベントが多く開催されるようになりました。

都市域に住んでいると、シカやイノシシが増えている地域の問題はあまり身近ではありません。食事は都市域に住んでいても毎日3回あるので、食べることを切り口に社会問題を考えれば、関心も引きやすくとても有意義だと思います。

ところが、先日、あるイベントで聞いた話ですが、ハンターが取ったニホンジカをハンターが精肉(ブロック肉)まで処理して、イベント主催者に送ることがあったそうです。

ハンターは適切に処理を行っているとのことですが、食品衛生法の営業許可(食肉処理業など)はとっていませんでした。

これは、食品衛生法違反(食品衛生法第52条)になります。また罰則は二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金(同第72条)です。

無料で配っている(試食)等の理由で営業ではないから大丈夫…でもありません。

営業の定義は、『食品若しくは添加物を採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、若しくは販売すること若しくは器具若しくは容器包装を製造し、輸入し、若しくは販売することを営む人若しくは法人又は学校、病院その他の施設において継続的に不特定若しくは多数の者に食品を供与する』 ことです。

ポイントは、たとえ無料だとしても、不特定若しくは多数の者に食品を供与することは営業にあたり、食品衛生法を遵守する必要があるということです。
(定義上、継続的と記載されていますが、一回限りのイベントであっても、大量に提供する場合などは営業にあたることもあるそうです。もし心配ならイベントを開催する地域を管轄する保健所にお問い合わせください。)

シカやイノシシなどの野生鳥獣肉はハンターが獲って、自分で食べることはもちろん、知り合いにおすそ分けするという文化があります。おすそ分けの延長線上で、イベントを考えてしまい、上記のような食品衛生法違反になってしまうシカやイノシシ肉が使われるようです。

法令順守はもちろんですが、食中毒や何かがあってからでは遅いです。(営業に当たらない)プライベートで少人数のイベントで使うならまだしも、Webなどで多数のお客さんを呼び、一般募集するイベントは営業になる可能性があります。また人の口に入れるものなので、やはりキチンとしたルートを通った食品を提供するようにして欲しいと考えています。

また、せっかく広がりつつあるシカやイノシシ肉ですが、たった一回、問題が起これば、それを払拭するのは非常に困難です。

イベンターの方々に水をさすような話かもしれませんが、人にとって、もっとも大事な『食』を扱うわけですから、一番基本の安心、安全は担保した上で、食べて普及につなげることができるか?を考えていただきたいと思っています。

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もちろん、クイージのエゾシカ肉は営業許可をとっている食肉処理場からです。
地元のハンターさんが獲った肉を、地元でBBQする。なんていうのは営業に当たりませんし、なによりハンターさんの顔が見えていて、どんな処理をしているかわかっているはずです。そういうのはいいんです。捕獲した場所と遠くはなれた都市域で安心安全で美味しく食べるには、やっぱりそれなりの基準を守らないとダメだと思います。

 

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