長野のマーケティングのうまさ、エゾシカも見習うところあり!

合計3回あるジビエ東京カンファレンスの第一段、長野シカのセミナーに行ってきました。

セミナー内容は、以下のとおりです。
場所 ごはんミュージアム(東京・丸の内/東京国際フォーラム内)
受講料 8,000円(ちょっと強気の価格設定)
カリキュラム
1.シカの解体、食肉加工、調理の実演と試食
2.ランチ・ワークショップ ジビエの魅力と可能性
3.事例報告ジビエによる6次産業化への挑戦(長野県大鹿村)
4.農水省の鳥獣害対策の説明

60人定員の会場で若干オーバー気味、80人の満席と大盛況のセミナーでした。

長野や本州の他の他府県でも、シカやイノシシには悩まされているのは新聞や他のブログ記事でも良く取り上げられているので、ここは視点を変えて長野のホンシュウジカ、イノシシのマーケティングに絞って、北海道のエゾシカについて思うところを書きたいと思います。 

長野と言えば北海道と並んで特産品が多くグルメな県で知られています。長野や信州と聞くだけで美味しいものがありそうとおもうところは北海道と同じです。 よく百貨店で開催される長野展が盛況なのを良く見ています。

まず、エゾシカよりも優れていると感じる3点です。
1.県が主体的に『PR』に動いている
北海道も最近、エゾシカ課という専門の部署を作るなど、取り組みについてはすばらしいと感じますが、長野県がすごいと感じるのは、県が『PR』に注力していることです。
個人的にもよく見るサイト、『信州ジビエ』は、県職員が主体になって更新を行っています。このサイトは、ブログ形式で更新も早いし、ツイッター連携までやっています。

信州ジビエのサイト
信州ジビエWeb
ブログ記事の数は約200、Twitterのフォロワー数も約2000。すごいです。
北海道にはこういった取り組みはありません。
『エゾシカ課課長のつぶやき』なんて、面白いと思うのですが。。。

2.お客さんを呼べるシェフがいて、さらにそのシェフが『東京で』動いていること
今回は長野のエスポワールのシェフ藤木氏、わざわざ長野から東京まで来て、講演、実践までを精力的に行っています。まだ、シカが家庭料理になっていない状況では、消費者との接点はレストランであり、シェフになります。
北海道でも、もちろん人が呼べるシェフはたくさんいますが、地理的になかなか東京まで呼べません。(札幌なら時間的には大差ないんですが、十勝や洞爺とかは厳しい)
シカ肉自体のPRだけではなく、シェフのファンになったお客さんが、長野まで観光に行くのも十分考えられます。 いわば、長野の外交官としてマーケットの中心で直接PRしてくれているわけです。
エスポワールシェフ藤木氏
エスポワールのシェフ藤木氏

3.イベントがいい
今回の解体ですが、毛皮付きシカの解体でした。大胆です。(もちろん、デモンストレーション用、その場で販売したりするのは食品衛生法上NGです。)
来たお客さんに物凄く印象的だったと思います。今まで、クイージでもエゾシカの解体をレストランやBBQにて行っていましたが、さすがに食品として扱える枝肉(内臓/皮なし)からの解体です。今回のように毛皮が付いているとインパクトありますね。いろんな意味で怖くてやりませんが・・・
ホンシュウジカの解体 
インパクトあります。参加者が釘付けでした。シェフから部位の特徴や料理方法などの説明がありました。

一方、北海道のエゾシカのアドバンテージは
1.エゾシカの認証制度で先行していること。(ただ長野も同じく認証制度を整備完了しています)
どちらも、整備完了した制度の浸透は途上です。生産側もすべての処理場が認証制度に準拠しているわけでもなく、ハンターとレストランの直接取引が多く残っています。
ただし、先行している北海道のエゾシカ認証制度について、都内のレストランシェフにアンケートを取ってみると、今のところ、まだ一人として知っているシェフには出会っていません。

2.ある程度は流通が確立されていて、都内のシェフもエゾシカを認知していること。
クイージ以外にも、エゾシカを取り扱う業者はいますし、相場もある程度出来上がっています。一方、ホンシュウジカを扱う業者はまだそれほどいません。ハンターとレストランの取引を仲介する業者はいくつかあるのは知っていますが、シェフが欲しいと思ってすぐに手に入るものではありません。
都内のシェフも、シカと言えば、エゾシカと思っているようですし、とあるレストランでは、『エゾシカのロースト』とメニューに書いてあって、良く聞いてみると、『長野のエゾシカです。』なんて言っているくらいです。(え、詐称?)

3.ハンティング出来る(しやすい)場所が多く、また一頭のサイズも大きいので捕獲効率が高い
山がそれほど急峻ではない北海道は、本州に比べるとハンティングは有利です。撃つ場所までのアクセスも、ずっと楽です。また、ホンシュウジカに比べてエゾシカは体が大きいので、捕獲したときの効率が高く、各部位の肉も大きくなるので、料理しやすいといったメリットがあります。

といったところでしょうか?

レストランに営業に行くと、まだまだエゾシカのほうが流通していると感じますが、うかうかしている状況でもありません。同じ獣害で悩む地域同士ですので敵になるのは困りますが、良きライバルとして、長野のいいところを見習って、北海道のエゾシカもPRを進めていきたいと感じています。

 

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