エゾシカ肉の可能性を西新橋で見た。

エゾシカ肉は、肉の中に脂がほとんど入っていません。熟成エゾシカ肉はヘルシーで肉の味が濃いのが特長なのですが、一方で熱を通すとパサツキ感が出てきてしまいます。

フレンチや、イタリアンでエゾシカを焼いただけの料理、つまりステーキやロースト、燻製といった料理の場合は低温調理かレアで出すのが基本で、熱をゆっくり通すことが肝心です。
とはいえ、もしエゾシカ料理を家庭で楽しんでもらうためには、あまり時間をかけないで、専門的な機材は使わないで、美味しく簡単にできるレシピも必要です。

そこで、ボワヴェールの川口シェフに無理を言って、エゾシカ肉をなるべく一般的な家庭料理で作って欲しいとお願いしてみました。フレンチやイタリアンで食べるエゾシカ料理ではない、エゾシカ料理の新しい可能性を探ってきました。

席に着くなり、厨房から出てくる出てくる。合計9皿。これが全部エゾシカ肉を使った料理です。今回川口シェフはなるべくシンプルな味付けにして、エゾシカ肉の可能性を探ることに重点を置いてくれています。ここから先は様々な調理方法を駆使すると味は簡単にレベルアップしますよ。とおっしゃっておりましたが、十分に旨い料理を堪能することができました。(役得役得・・・)

では、個々の料理をご紹介します。

1.にくじゃが
いきなり、これです。ザ、家庭料理のにくじゃがです。川口シェフらしくパンチの効いた味に仕上がっています。肉は脂が多いバラ肉を使っていますが、パサツキ感は残る料理方法です。ところが、ご飯と一緒に食べると、このパサツキ感が『ご飯が進む』効果があるみたいです。うーん。今まで、パサツキ感をなくそうと努力をしていたのですが、あえてそのパサツキ感を上手く使う料理の組み合わせもあるんだと気がつかせてもらいました。
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2.しょうが焼き
またまた、家庭料理の定番です。って今日は家庭料理をオーダーしたから当たり前なんですが・・・
しょうが、ニンニクは川口シェフの十八番。これもパンチが効いています。肉じゃがと同じくパサツキ感はありますが、ニンニクしょうがで漬け込んだエゾシカ肉は、さらに柔らかくなり味がしみています。今日は試食会なのでご飯はありませんでしたが、ご飯が欲しい味です。

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3.エゾシカシチュー
カタ肉を使ったシチューです。煮込み時間は3時間で、うまみたっぷりで柔らかくジューシーに仕上がっています。カタ肉らしい濃厚な味と、カタ肉に入っているプリプリの脂がたまりません。ちなみに、このシチューの出汁はエゾシカの骨からとった出汁です。スープは今までに食べたどのスープよりも濃厚で魚介系も入っているのかと勘違いしそうでした。
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4.コロッケ
これまた家庭料理の定番、コロッケです。ジャガイモの割合が大きいので、何も言わなければエゾシカが入っているとは気がつかないのが残念ですが、油であげることで、エゾシカの甘みが引き出されます。メンチカツみたいにしても美味しいと思います。
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5.燻製
燻製には、いろいろな種類があって、温度のかけ方によって、熱燻、温燻、冷燻とあります。これは、その中でも家庭でできることを念頭に、フライパンでできる熱燻のエゾシカです。お店で出すなら、もっとレアに仕上げますが、ここではもう少し熱を加えてもらいました。サクラの香りと肉の香りが濃厚で、さすがにワインをオーダーしかけてしまいました。
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6.ボロネーゼ(ミートソース)
スネをミンチにしてからミートソースに仕上げています。個人的には、ミートソースにはカタ肉のほうがいいのかな?と思います。スネ肉はよく煮込んだときの筋の味と食感が楽しいので、シチューに向いていると思います。スネ肉のボロネーゼの味は素直なので、スパイスや塩加減を調整すれば万能かな?と思っています。スネ肉は部位としては最も人気がなくてよく在庫になってしまいます。でも料理方法しだいでは、こんなに美味しくいただけるといういい事例だと思います。
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7.ハンバーグ
まだまだ続きます。ハンバーグはスネ肉とバラ肉のミンチで作ってくれています。もちろんシンプルに玉ねぎと卵とパン粉だけしか使っていません。試食会も終盤に来て、だいぶお腹がいっぱいになってしまったのですが、これは正直、今日一番の旨さです。川口シェフ、、、熟成肉らしい香りと味がしっかりしていて、これは家庭料理の域を出ちゃっていますよ。レシピは単純なのに、この味とは・・・。バラ肉をいれているので、脂分もしっかり入っていてジューシーでレストランで十分メインを張れる出来です。ちょっと驚きです。
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8.ピザ
オーブンでじっくりと火を通しているので、脂が少し出すぎてしまっています。つなぎを入れて、脂を閉じ込めるともっと旨いはずだ!と川口シェフ。いやいや、十分旨いです。ピザシートはスーパーでも売っているし、ソースだけを買ってきたり、家でソース作り置きさえしておけば、手軽なパーティにも使えるし、これだけ美味しければお客さんも納得してもらえると思います。
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9.ラーメン
さて、最後の一品です。川口シェフが自信満々で出してくれました。しょうゆベースのラーメンです。もちろん、上に乗っているのはエゾシカチャーシューで、ラーメンのスープはエゾシカの骨から作った出汁です。エゾシカの骨ですよ。骨。。。もちろん、フレンチでだし汁(フォン)を作るのは知っています。オーブンで焼いた骨を使うことが多いのですが、今回、川口シェフは、あえて焼かずに骨をそのまま使って出汁をとっています。生臭い、獣くさいといったワイルドなイメージになるかと思いきや、意外に素直で綺麗で上品な味です。驚きました。
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さて、合計9皿のエゾシカ料理を堪能しました。
ボワヴェール川口シェフには感謝の言葉もありません。本当に新しい可能性を垣間見ることができました。こんな面白い試食会は初めてでした。

あ、もし、試食会に行きたいって人いたら、ご連絡ください。
ぜひ、みなさんにも食べていただき、エゾシカ料理の可能性を探すのにご協力いただきたいと思います。

 

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  • [...] This post was mentioned on Twitter by 秀嶌三姉妹(フードアナリスト三ツ木貴重), EcoBrand 東 大史. EcoBrand 東 大史 said: オイラにも食べさせろ! RT @hide_danbo123: ボワヴェールの川口シェフによるエゾシカ試食会についてブログアップしました。役得ですよね~こんな旨いもの食べれて。。。ジビエールの会でも試食会やりましょ。http://bit.ly/eDuaYn #gibierer [...]

     
     
     
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