奥多摩町のニホンジカ処理場見学

奥多摩町のニホンジカ処理場を見学してきました。

奥多摩町は、東京都の最西端、最北端の町で、面積が東京都内最大の自治体です。

非常に、急峻な地形にあって、いくつかあるJR青梅線の駅周辺に家や農地が山肌にへばりついています。

(川井、古里、鳩ノ巣、白丸、奥多摩)

東京都内からは、先日お伺いした笛吹市と同じくらいの時間がかかります。

距離的には奥多摩町の方が近いのですが、交通インフラが少なく、

特に高速道路が通っていないため、車で行くには下道を通らざるを得なく、時間がかかってしまいます。

中央道が整備される前は、青梅街道が、甲州街道の裏街道の位置づけであるため、

そこそこ観光客が通る街でしたが、現在は観光客もそれほど通らず、小さな観光地といった感じの街です。

今回は、先日の東京農工大のセミナーで北海道のエゾシカ協会の井田さんに、

ご紹介していただいた、奥多摩町の観光産業課の天沼さんをたずねて、

奥多摩町まで見学に行きました。お忙しいところ、大変ありがとうございました。

 

 

さて、ニホンジカの処理場ですが、奥多摩町では、近年野生動物による、

農林業被害が激しくなってきており、ハンターによる有害動物駆除が行われています。

有害動物として駆除した野生動物の有効活用と、町おこしをかねて、

町が主導で処理場を作ったというのが、処理場の設立の経緯とのことです。

 

都内で野生動物が農林業に害をなしている事例はとてもレアケースであることから、

都としてのサポートはなかなか難しいものがある中で、

自治体である奥多摩町が主体となって処理場を作るというのは、面白い取り組みと思います。

 

今後の課題は、

1.処理場の稼働率向上

シカは300頭ほど捕獲しているのですが、急峻な地形のため、捕獲後、回収できない。

回収できても処理場まで運ぶのに時間がかかる。ハンターの処理レベルがまだ高くないなどから、

シカを処理場まで持っていくのが難しく、処理場の稼働率が上がらない。

(シカ肉の生産量があがらない)

 

2.消費の喚起(町おこしへ)

現在は、シカ肉を地産地消し、シカ肉で町おこしを狙っているそうですが、

レストランや旅館でシカ肉の美味しい食べ方・料理方法が確立していないため、

消費が喚起できていないとのことです。また、処理場でパックした肉は、

雌雄、年齢などの記載がないため、シカ肉に合う料理方法を十分に料理人に、

提示できていないことも問題だと思います。

奥多摩町のシカは、捕獲時に、かなり細かい情報を記録し、個体番号とともに管理しているので、

やろうと思えばすぐにもできるかとは思いますが、料理人側もそこまで求めていないというのも問題です。

奥多摩町には、シカ肉にこだわるフレンチがないのも残念です。

お伺いしたときに、観光案内所でシカを食べられるお店を紹介してもらおうとしたのですが、

かなり遠いところのお店のシカ丼、1店舗だけしか今は出せてない。

とのこと、町全体で、消費の喚起が重要です。

 

私自身が絡んでいる地域の事例ですが、

■石岡市八郷地区での事例
しし肉スタンプラリー
商工会主催で、市内のしし鍋提供店をパンフレットで紹介。
すべて回り、スタンプを集めると商工会から記念品が授与される。
10数店もあり、すべてのスタンプを集めるのは難しいとは思いますが、
写真付でお店や店主を紹介できること、
うまく行けば、リピーター需要があることなど、
面白い取り組みだと思っています。

■笛吹市(山梨県)
古代ジビエの会
山梨県考古博物館と獣害対策支援センターの共催
縄文時代の暮らしを再現するというイベントの中でのひとコマ。
その他、縄文土器つくりや勾玉つくりなどのイベントもあります。

などがあります。それぞれ大成功とは言えない事例ですが、獣害対策と町おこしを組み合わせている事例です。

奥多摩町でも、面白くシカを観光客に提案して、町おこしにつなげて行ければと思います。

 

山に入り込んだ民家

駅周辺の山肌にへばりつくようにある民家、山はとても急峻で、平地はほぼありません。

山と民家が隣接しているというより、山の中に民家が入り込んでいるという印象です。

獣害(野生動物が民家に近づくこと)があるのは、ある意味当たり前です。

 

奥多摩ビジターセンター

立派なビジターセンター、平日なので中に人はあまりいませんでした。

奥多摩町の飲食店(柳小路)

奥多摩駅周辺には、思った以上に飲食店があります。

観光客が右肩上がりで増えていった時代は良かったそうですが、徐々にお客さんは減ってきていて空き店舗、空き地があります。本文中の蕎麦屋は、この中の一店舗でした。

シカ処理場

シカの処理場

と場法に準じた施設になっていて、一次処理→二次処理→解体と、と体が逆に流れないようになっています。

 

 

追伸

そうそう、奥多摩町はワサビも有名です。

シカ肉を食べさせるお店が遠く、アポイントに間に合わないの
で、ワサビを食べようと思い、駅周辺の蕎麦やに行きました。

なんと、粉
ワサビでした。。。

ん~商店街の意識改革も行わないとだめですね~

 

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