獣害・なぜ増える?どう防ぐ! 井上雅央氏(近畿中国四国農業研究センター)の講演

損保ジャパンの市民講座です。

井上氏の講演を初めて聞きましたが、非常に面白い講演でした。
井上氏は、研究者というより、完全に実務家で、農家のおじいさん、おばあさんに対して、
獣害の防ぎ方をレクチャーすることを常に行っているのだと思います。
そのため、話が非常にわかりやすい。
あまり農業・林業等と触れ合う機会がない都会の人間にも、とてもわかりやすい講演でした。

まず、印象に残ったのが、被害の拡大の理解の仕方です。
新聞や、研究者がおっしゃることをまず完全に否定していました。一般には、獣害の被害は、
 1.温暖化
 2.スギヒノキの植林で山に餌がなくなり里に下りてきた
 3.過疎・高齢化
 4.ハンター少なくなった
で広がったとされていますが、上記4つの理由は、完全に否定していました。

井上氏の理解では、獣害が広がったのは、餌付けに成功したからとしています。
餌付けは、
1.野生動物にとって人間は怖くないと思わせること。
2.いつでもご馳走があることを教えること。
で、成功するそうです。

また、餌付けの餌は2種類
1番目の餌 → 怒る餌(被害)
2番目の餌 → 怒らない餌(被害ではない)
で、2番目の餌が、被害の広がった地域に非常に多く存在するとのことです。
(例えば、ヒコバエ(コシヒカリは稲刈りが早い)、草刈した後のあぜ道、廃墟の柿など)

なので、獣害を防ぐには、
2番目の餌を見極めて、それをどれだけなくすか、
人間が怖いことを教育すること
に尽きるそうです。

非常にわかりやすい。

つい、被害を受けている地域で話を聞くと、
農業被害額=提供してしまった餌
と思いがちですが、そうではないことが多い、それ以前にもっと餌を提供してしまっている。
何を提供しているのを、現地でしっかり見極めましょう。
とのことでした。

あとは、2番目の餌のなくし方、これも実践的で面白かったです。
作業の順番を変更する。
作業の時期ずらす。
そもそも必要なければ作業をやめてしまう。
で変わることも多いそうです。
これなら、それほど人手をかけなくとも実践可能。

すばらしい。

 

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