野生鳥獣肉の扱いについて、長野県Webがとても参考になります。

ハンティングによって得られた肉は、もともとハンター同士で分け合う、または地域でおすそ分けするという文化があります。シカやイノシシが多い地域に住んでいらっしゃる方は、近所のハンターさんから肉を貰った。という経験も多いのではないでしょうか?私も、北海道に住んでいたころ、ハンティングをする先輩からエゾシカやカモの肉をいただいたり、食事会にお呼ばれした経験があります。

で、そのおすそ分け文化の延長で、ハンターがそのままレストランなどに肉を卸す。といったこと、今でも多いようです。なんどか、このブログでも紹介していますが、ハンターが野外で解体した野生鳥獣肉を営業行為としてレストランに販売するのは食品衛生法違反です。食肉処理業の営業許可を取った施設内で血抜きよりも先の処理(剥皮、内臓摘出、解体など)を行う必要があります。

また、食品衛生法では説明されていない、シカやイノシシのハンティング方法や、処理場までの運搬などについては、都道府県単位でのガイドラインやマニュアルが整備されつつあります。

都道府県のガイドライン、マニュアルは公開されているのですが、分かりやすく参考になるのは長野県のマニュアルです。(エゾシカ衛生処理マニュアルのページももう少しがんばって欲しいですが。)

信州ジビエ衛生管理ガイドライン・衛生マニュアルの策定について

特に、Q&Aが分かりやすく、
・これから処理場を作るけど…
・今うちの店で扱っている肉は大丈夫か?
・よし、有効活用するぞ!!
といった野生鳥獣肉を取り扱う方々には非常に参考になるかと思います。

また、Q&Aから根拠となる県の条例や、食品衛生法の条文への参照もついており、法律や条例上何がNGでなにがOKなのかが良く分かります。

長野県の資料で、1点だけもう少し詳しく書いて欲しいと思ったところは……

Q&A 11
飲食店で未解体の丸の個体を「食材」として仕入れ(又は譲り受け)、料理人が自ら捌き、「料理」としてお客さんに提供する範囲であれば飲食店営業許可の範ちゅうであり、食肉処理業や食肉販売業の営業許可は不要です。

とありますが、
衛生的に、『料理人が自ら捌く』ためには、やっぱり処理場並の設備が必要かと思います。他の食材が同じ部屋にある中で、シカやイノシシの剥皮や内臓摘出を行うことは衛生的に大問題です。体毛も飛び散りますし、大腸菌類による汚染が考えられます。最低でも解体専用の別部屋は必要になるかと思います。

飲食店を管轄する、保健所にてどういった食材をどのように扱うか(未解体の丸の個体を「食材」として仕入れ、料理人が自ら捌く)を、相談し、衛生的な設備を導入して初めて、『お客さんに提供する』ことができると思います。

このままだと、Q&A 11 は法律の抜け道のように解釈されかねません。

image

 

Comments

No comments so far.

  • Leave a Reply
     
    Your gravatar
    Your Name